今回は、ショートフィルム「好きにしな(原題:Fine)」をレビューします。
くすくす笑わせる、ローテンションコメディ。
個人的にはかなり好みでした。
作品紹介
「好きにしな(原題:Fine)」は、メキシコ生まれのMarta Hernaiz Pidalに映像作品。ショートショート フィルムフェスティバル & アジア 2017 や、カンヌ国際映画祭 2016 シネフォンダシオン部門に選出されています。
グアナフアト国際映画祭 2016 では、優秀メキシコ短編賞を受賞しました。
あらすじ
ある日アパートの玄関前に現れた見知らぬ女。どうやらここに居着く気でいる女を見て、アパートの主人はひどく嫌がった。あの手この手で座り込み女を追い払おうとするが、「好きにしな」の一言で華麗にかわされてしまう。2人の攻防は意外な展開に。
監督
Marta Hernaiz Pidal
1988年、メキシコ生まれ。Centro de Diseño Cine y Televisión Universityでショートフィルム『Pollito Chiken』を制作、優秀成績で卒業した。ボスニア・ヘルツェゴビナで修士号を取得。長編映画『La Asunción de José』(Mexico 2016)では共同撮影監督、プロデューサーを務めた。
レビュー
冒頭から物語が動き出すまでの前振りが、あとから効いてきます。
設定説明がほぼないので、少し集中力がいるかも。
余裕があるときに観たい、想像力を刺激する作品です。
ブリリアショートショートシアター オンラインで視聴しました。
さっそくレビューいきます。
設定がシンプルに怖い
家の前に見知らぬ老婆が座っている状況って、結構不安になるシュチエーションだと思うんです。しかも、ちょっとずつ移動してくるって怖くないですか。「メリーさんじゃあ、ないんだぜ」(CV:松田 大輔 from 東京ダイナマイト)
ほかの住人の無関心ぶりからすると、かなり頻繁に表れていたのかもしれないですけど。
だとするといったいどれだけの攻防がこの物語以前にあったのかも気になります。
そうやって想像を膨らませていくほどに、どんどんこの状況の奇妙さが可笑しみに変わっていくのがいいですね。
想像の余地が多い
とにかく状況説明が少なく、視聴者の想像に訴えかける内容でした。
表面的な要素がわかりやすく描かれているからこそ、そこから想像してね、と言われてるような気がします。身につけたアクセサリーや小奇麗な身なりに対して、あまりにも質素な食事は何を物語ているのか。老婆が口ずさむ歌は何を歌っていたのか(歌詞がわかれば、より物語がわかりそうだけど、訳なしで残念)。
住人の最後の行動、いなくなった老婆、老婆の指輪などその背景を想像することで、より楽しめるように思います。観るなら頭に余裕のある時のほうがいいですね。
「好きにしな」の余韻
余韻の残り方が良い!この余韻感はかなり好みでした。
中盤からもう「好きにしな」が欲しくて待っちゃってるから、ラストシーンでセリフなく終わるのに、もう脳内では「好きにしな」って聞こえてました。
してやられたという気持ちが、ちょっと清々しくて、可笑しくてまた良かったです。
おわりに
セリフが少なく、設定説明などもほぼ無いので、すこし集中力がいりました。
その分、見たあとに誰かに話したくなるような作品でしたね。
何度も言いますが、余韻がとても好み。コーヒーアンドシガレッツを思い出す感じです。
私も珈琲がのみたい。
おしまい
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