(映画.comより画像引用)
作品紹介
『はじまりのうた(原題:Begin Again)』は、2015年公開の音楽映画。「ONCE ダブリンの街角で」でアカデミー賞歌曲賞を受賞したジョン・カーニー監督の作品。
主演は「パイレーツ・オブ・カリビアン」のキーラ・ナイトレイと「アベンジャーズシリーズ」ハルク役でおなじみのマーク・ラファロ。また、本作では人気ロックバンド「Maroon5」のボーカル、アダム・レビーンがスクリーンデビューを果たしている。
アダムは、キーラ・ナイトレイ演じるシンガーソングライター、グレタの恋人役を演じたほか、歌も披露。キーラもギター演奏と歌をスクリーンで初披露しました。
あらすじ
シンガーソングライターのグレタは、恋人で歌手のデイブに裏切られ失意のどん底にいた。そんなか友人の誘いで訪れたライブバーで、歌を披露することに。
一方、音楽プロデューサーのダンは自ら立ち上げた会社をクビになったばかり。自暴自棄になり、偶然立ち寄ったライブバーで、グレタの歌に耳を奪われた。
ダンは彼女とレコードを作ることを思いつくが――――――
キャスト・スタッフ
【キャスト】
グレタ/キーラ・ナイトレイ
ダン/マーク・ラファロ
デイブ/アダム・レヴィーン(Maroon5)
バイオレット/ヘイリー・スタインフェルド
スティーブ/ジェームズ・コーデン
サウル/ヤシーン・ベイ(モス・デフ名義でミュージシャン活動)
トラブルガム/シーロ・グリーン(5度のグラミー賞受賞を誇るシンガーソングライター)
ミリアム/キャサリン・キーナー
本物のミュージシャンの参加も遊び心があっていい。
【スタッフ】
監督・脚本/ジョン・カーニー
音楽/グレッグ・アレクサンダー
音楽監修/アンドレア・フォン・フォースター、マット・サリバン
レビュー
本作は、悪者がだれ一人いない映画。
登場するすべての人が音楽への愛にあふれている。対立や過ちがあっても、人や音楽を悪く言う人は誰一人いませんでした。
ポジティブで、とってもキュートな作品。好き!
はじまりのうた
オープニング、ライブバーでの一幕は、作品を象徴する名シーン。(正直、名シーンだらけなんですが、とりあえずここが一番)
つづく前半パートは、ライブに至るまでの時系列が繰り返されます。重なるほどに物語の味わいが増していくつくりに興奮しました。
いうなれば音楽セッションのよう。重なりあい一つの音楽になっていく。
冒頭30分ほどで、丁寧かつテンポよく表現していくリズム感に脱帽です。
グレタの歌は、後にダグが評したように「グレタ自身をうたったもの」。それを聞いたダグは、直前まで駅のホームで自暴自棄になっていた。
ふたりがピッタリと重なる。このシーンのために作品が作られたんだと確信できるほどの名シーンが、冒頭からくるとは。
「覚悟はあるの? 最後の一歩よ」
サビで高らかに歌い上げた言葉通り、二人は最後の一歩を踏み出したようにみえました。最低な自分の最後であり、はじまりの一歩を。
レコーディング
レコーディングは、作中もっともユニークなシーンですね。
単純に楽しい!「音楽って楽しいんだぞ」って全力で表現した気持ちのいいシーンの連続です。レコーディングチーム全員の表情が晴れやかで、喜びにあふれてる。
楽しさが耳から全身に伝わっていくよう。正直じっとしていられない。
「警察に怒られたり」「子どもを金で釣ったり」ちょっとグレーな感じなんだけど、すいませんそれでもこのシーンは好きです。創造の楽しさや喜びがたくさん詰まってました。
音楽は退屈な人生を彩る
夜のニューヨークをグレタとダグがデートするシーン(デートと呼んでいいですよね)。スプリッターをつないだふたりが、街中を歩き回る姿はとってもキュート。
実際は2人の耳にしか届いてない音と二人だけの世界。それを一歩引いた場所から見ていたかのようなダグのセリフが印象深く耳に残りました
「音楽は人生を彩る」
退屈で平凡な日々でも音楽が彩を与えてくれる。ああ、わたしが音楽を好きだった理由もこれだった。
代弁してくれてありがとうダグ!
そう思うと同時に、2人が日常へと戻っていくのが少し切い。
ナイス!スティーブ!
個人的にMVPをあげたい、本作の功労者スティーブ。
彼がいたことで、作品がラブロマンスにならなかったのは言うまでもない。グレタにとっての彼は、異性である以上に友人であり、音楽を通じだ仲間。
グレタとひとつ屋根の下でも いかがわしさゼロ!
グレタとダグがめっちゃいい雰囲気で帰宅した際にも、絶妙なタイミングで登場。
まさにグッジョブ。あれ以上ない素晴らしいタイミングでした。
もう一つのはじまりのうた
本作のラスト、グレタが元カレ デイブのライブに訪れるシーン。
ここで歌われたのが「lost stars(さまよう星たち)」 オリジナルはグレタが、デイブのために作った曲でした。彼らがミューヨークを訪れたときにBGMとして流れていた曲です。
ライブでは、デイブが歌詞をつけ足したものが披露されました。ある意味アンサーソングですね。そのアンサーソングに耳を傾けるグレタの表情が言葉にならないほどに切ない。
ニューヨークでの始まりを象徴する曲は、2人の終わりを告げる悲しい曲になりました。
グレタにとって、歌は自分そのもの。そんな彼女が死ぬほど愛した恋人に捧げた曲に背を向け、彼女は新しい一歩を踏み出す(チャリでしたけど)。
本作のもう一つの「はじまりのうた」。同曲をバックに奥さんとイチャつくダグ。おめでとう!
物語の終わりとともに、それぞれの新しい人生が始まる。気持ちいいのエンディングでした。
次はどんな場所でレコーディングするのだろう。物語はいま始まったばかり。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
今回は『はじまりのうた』をレビューしました。
あなたの映画ライフの楽しみが少しでも広がれば幸いです。
【はじまりのうた】考察用・用語まとめはこちら。
さいごまで読んでいただきありがとうございました。
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