本記事の画像は、『クレアのカメラ』公式サイトおよび、映画.comからお借りしています。
基本情報
製作: 2017年
配給:クレストインターナショナル
時間: 69分
制限:なし
脚本:ホン・サンス
音楽:タル・パラン
キム・ミニ
イザベル・ユペール
チャン・ミヒ
チョン・ジニョン
ほか
今回は『クレアのカメラ』をご紹介します。
あらすじ
韓国の名匠ホン・サンスが、それぞれ過去にタッグを組んだことのあるイザベル・ユペールとキム・ミニをキャストに迎え、華やかなカンヌ国際映画祭の舞台裏で繰り広げられる人間模様をユーモアたっぷりにつづった。ユペールとキム・ミニがそれぞれの出演作の上映でカンヌを訪れたわずかな期間を利用して撮影を敢行し、女癖の悪い映画監督、監督と男女の関係にある映画会社社長、監督と関係を持った映画会社社員がそれぞれの思惑を交錯させていく様子を描く。映画会社で働くマニは、カンヌ国際映画祭への出張中に突然、社長から解雇を言い渡されてしまう。帰国日の変更もできずカンヌに残ることになった彼女は、ポラロイドカメラを手に観光中のクレアと知り合う。クレアは、自分がシャッターを切った相手は別人になるという自説を持つ不思議な女性だった。2人はマニが解雇を告げられたカフェを訪れ、当時と同じ構図で写真を撮るが……。
引用出典:映画.com
感想
それにしても、好きな女優がカンヌに集まってるから撮っちゃお!と見事なまでに経済的にカメラを回し、これを撮ってしまうとはなんという才能でしょうか監督!セルフパロディ満載で、撮影哲学まで披露して、これだけミニマムに収まるなんて洒落すぎです。
ストーリー 3☆☆☆
音楽 2☆☆
映像 4☆☆☆☆
キャスト 4☆☆☆☆
コーヒー&シガレッツの雰囲気に似ているところがあるなぁと個人的には感じました。
『クレアのカメラ』見どころ解説
『クレアのカメラ』の見どころを3つに絞ってご紹介します。
・ホン・サンス監督のセルフパロディ
・イザベル・ユペールの好演
クレアの撮影哲学
詩人でもあるクレアは、カメラを使った撮影と被写体との関係に独特の哲学を持っています。
カメラに写した人は、シャッターを切る前とは別人になっているというのです。
これが本作のキーとなるのですが、被写体を切り取る手法を映画の比喩として見ることもでき、とても興味深い。
本作もほとんどがワンシーン・ワンカット。
編集によって役者の演技を区切らずに撮ることで、カメラによる演技の分断を避けていることが分かります。
クレアは、ホン・サンス映画でお馴染みの長回しカットに通ずる撮影哲学を持っているキャラクターとしても注目です。
ホン・サンス監督のセルフパロディ
クレア以上にわかりやすくホン・サンス監督の自己投影となっているのが、映画監督として登場するソ監督です。
物語の起点となる人物という意味でもホン・サンス監督と同じポジションを与えられたキャラクターといえます。
現実でもキム・ミニとの不倫を公表しているホン・サンス監督ですが、そこまで開けっ広げちゃうんだというぐらい作品内でもぶっちゃけていて面白かったです。
これだけなら普通に人間のクズなんですが、きっとソ監督もいい作品撮ってるんだろうなと思うと、悔しくなります。
イザベル・ユペールの好演
本作ではイザベル・ユペールの軽やかなキャラクターがとても魅力的でした。
イザベル・ユペールとキム・ミニが、それぞれの出演映画でカンヌ映画祭を訪れた機会を利用し、数日で撮影されたため、かなり即興的に撮られたことでも知られている本作。
劇中にあるクレアの出身地はイザベルそのままに設定されているので、特にあてがきの度合いが強いかもしれないです。
出身地フランスがロケ地だったこともあり、実際リラックスして撮影できたのかなと容易に想像できるほど脱力感のある演技に癒されました。
3人のアンヌや自由が丘でにも通じる、旅先で感じる非日常的な開放感と何気ない日常会話の取り合わせによって生まれる可笑しみがイザベルを通して伝わってきます。
まとめ
今回は、クレアのカメラを紹介しました。
69分のコンパクトな作品ですので。気になった方は是非ご覧ください。
この記事が皆さんの映画ライフの一助になれば幸いです。
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