(本記事の画像は、Amazonおよび映像からお借りしています。)
作品情報
時間:128分
配給:徳間書店
監督:庵野秀明
脚本:庵野秀明
原作:藤谷文子
主題歌:『Raining』Cocco
岩井俊二
藤谷文子
大竹しのぶ
松尾スズキ(声の出演)
林原めぐみ(声の出演)
ほか
岩井俊二演じる「カントク」、藤谷文子演じる「彼女」それぞれの心の声を松尾スズキ、林原めぐみが演じています。
『ラブ&ポップ』でも同様の演出方法がとられていました。
こんにちは、猿こまです(@aoi_saru)
『シン・ウルトラマン』『シン・仮面ライダー』の公開を控える庵野秀明の実写映画2作目『式日』を紹介します。
第一弾『ラブ&ポップ』レビューはコチラです。
『式日』のあらすじ
主人公「カントク」は、東京での仕事に疲れ果てていた。久しぶりに帰郷した彼は、偶然「彼女」と出会う。
「儀式をしていた」という彼女に、なんとなく引っかかりを覚えた「カントク」は、毎日彼女の元へ通うようになっていた。
彼女は「明日は私の誕生日」といって、同じ毎日を繰り返している。
「カントク」は、彼女を題材に、映画を取り始めるのだが―――――
(ここからはネタバレを含みます。視聴後に読んでいただくのがオススメです。)
『式日』の感想
「ぶれないな!庵野監督」という第一印象。
カット割りや構図、モチーフにいたるまで、随所にアニメーションおよび実写の過去作品を想起される内容でした。
「儲からなくても、0.数%の人に伝わる作品を」と庵野監督が語っただけあって、かなり作家性の強い作品でした。
すこし長く感じたものの、1ファンとして悔い無し!
本作のテーマカラーになっている「赤」や、彼女の「金髪」、お母さんとの「確執」は、エヴァンゲリオンのアスカそのもの。
このあと新劇が作られたことを考えると、本作のタイトルは、アスカの改名に無関係ではなかったのかなと妄想します。
個人的には「人間」「共生」「回帰」3つのテーマのが背景にみえました。
人間=庵野監督(カントク)
本作の人間=庵野監督自身ですね。
名前こそついていませんが、作中のカントクは庵野監督自身の投影でしょう。
その証拠に、ロケ地および物語の舞台となった山口県宇部市は、庵野監督の出身地です。
帰郷からのスタートは「回帰」ともリンクしていました。
電車のレールになぞらえた「共生」
本作では、カントクと彼女の共生関係が物語の軸となっていました。
そういう意味では、彼女もまた庵野監督の一部を投影した存在とみれると思います。
彼女が電車のレールを語るシーンは、特に象徴的でした。
「この2本てね、絶対交わることってないのね。だけど2つでひとつなの。」
カントクがレールに運ばれる話をした直後、彼女がレールそのものの話をする。
この点でも、二人が補完し合う関係であると受け取れます。
『式日』の32日目から「回帰」へ
ラストシーン、新しい1日を迎えた彼女がカメラの前で微笑んでいました。
カウントダウンがおわった32日目。1ヶ月31日とするなら、新しい月のはじまりの日。
すべては1日目に回帰し、物語りは終わりを迎えます。
おそらく、彼女もカントクもそれぞれのいた場所に帰っていくのでしょう。
そして月日は回る。庵野監督の苦悩もまた新しいレールの上に乗せられたのかもしれません。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
今回は『式日』をレビューしました。
今回は特に、庵野監督自身にフォーカスした作品だったと思います。
未視聴の方にはぜひご覧いただきたいです。
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おしまい。
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