『クリスマスとよばれた男の子』は、イギリスの小説家マッド・ヘイグによる同名児童書を映像化したクリスマス・ファンタジーです。
物語の語り部として「ハリーポッター」シリーズのマクゴナガル先生でおなじみマギー・スミスが出演。
NETFLIXで2021年11月24日より公開されました。
基本情報
出典元:IMDb
原題 | A Boy Called Christmas |
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製作 | 2021年(イギリス) |
配給 | Netflix |
時間 | 106分 |
スタッフ
監督 | ギル・キーナン |
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脚本 | オル・パーカー、ギル・キーナン |
原作 | マット・ヘイグ |
音楽 | ダリオ・マリアネッリ |
キャスト
ヘンリー・ローフル |
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トビー・ジョーンズ |
サリー・ホーキンス |
クリスティン・ウィグ |
ミキール・ハースマン |
マギー・スミス |
ほか |
今回は、NETFLIX映画「クリスマスとよばれた男の子」を考察レビューします。
あらすじ
出典元:IMDb
父と山奥の小屋で暮らす少年ニコラスは、亡き母がかつて話してくれた「エルフの村エルフヘルム」の物語を信じる男の子。
ある時、国王がだしたおふれで、父親は「希望をもたらすもの」を探すためにエルフの村を探す旅に出かけてしまう。
ニコラスは、友達のネズミとともに父の後を追って冒険に出かけることを決意する。
父の行方の先にある希望をもたらすものの正体とは…
見どころ
出典元:IMDb
クリスマスの伝承をベースにした物語
本作はファーザー・クリスマスや聖ニコラスなどのクリスマスに関わる伝承をベースにした物語です。英国では有名な同名小説の映像化ということで、クリスマスシーズンにぴったりです!
可愛いだけじゃないネズミのミーカ
ニコラスの相棒になるミーカが可愛い!とにかくおしゃべりで愉快なミーカなんですが、たまにはっとするような一言を出して来るので、お見逃しなく。
ニコラスが見つけた「希望をもたらすもの」とは?
エルフヘルムをめぐる冒険の先で、ニコラスが見つける希望をもたらすものとは何なのか。この冒険の結末は子供だけでなく、大人にも是非みていただきたい。
感想
おすすめ度 | 3.8 |
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ストーリー | ☆☆☆☆ |
音楽 | ☆☆☆ |
映像 | ☆☆☆☆ |
キャスト | ☆☆☆☆ |
クリスマスムードが高まる映像に主演のヘンリー・ローフルが映える!伝承をモチーフにしたストーリーの出来も良い「子どもと観たいクリスマスムービー」でした。
『クリスマスとよばれた男の子』の評価をチェック
3つの映画評価サイトIMDb、Filmarks、Rotten Tomatoesから『クリスマスとよばれた男の子』の評価をまとめてみました。
全体的にみると評価は「並」といった印象です。
IMDbのデータ分布では、10点満点が全体の15%以上の票数となっています。
引用元:IMDb
Rotten Tomatoesは、レビュー数が二桁と少ないのが寂しい。
引用元:Rotten Tomatoes
Filmarksでの評価は3.6。
個人的な評価とも近くて親近感です。
引用元:Filmarks
クリスマスやサンタクロース伝承などに馴染みの少ないであろう日本人が多いことを考えると、意外と高評価だなと感じます。
※2021年12月8日時点でのデータを参考にしていますので、最新の評価を知りたい方は各サイトをご覧ください。
ここからの考察では、一部ネタバレも含みます。
ぜひ本編視聴後にご覧ください。
『クリスマスとよばれた男の子』考察まとめ
本作はイギリスの小説家マッド・ヘイグによる同名児童書が原作。
イギリス制作のためか、劇中で「サンタクロース」の名前が使われることはありませんでした。
どちらかというとファーザー・クリスマスを意識したのでしょう。
鑑賞後では、タイトル中のクリスマスの引用元はファーザー・クリスマスのほうが個人的にしっくりきますが、原作未読のため正確なことは不明です。
ファーザー・クリスマスの元は民間伝承に登場するキャラクター。主に冬の祭りごとなどに用いられたものが、徐々にサンタクロース伝承と合流し、現在では英国におけるサンタクロースの呼称として定着しています。
ここからはネタバレ含む考察です。
ぜひ本編鑑賞後にお読みください。
本作とクリスマス伝承の関連性
知識不足だったので調べてみると、本作にはいくつかあるクリスマスの伝承が忠実に織りこまれていました。
本作のメインの題材となっているのは「聖ニコラスの伝説」と「フィンランドのサンタクロース伝承」
サンタクロースの元と言われる聖ニコラスの伝説は、貧しい家に金貨をプレゼントしたエピソードが有名です。
ある時、財産を失い困り果てていた父親と3人の娘の身を案じたニコラスは、夜中にこっそり金貨を投げ入れた。それぞれの娘に密かに金貨を送りつづけたニコラスの存在を知った父親は涙を流して感謝した。
これが本作の主人公ニコラスの由来であると同時に、物語の聞き手となる3人の子供たちのモチーフにもなっていると考えられます。
出典元:IMDb
一方で劇中劇の舞台となるエルフヘルムのモチーフは、フィンランドのサンタクロース伝承。
フィンランドには、北部・ラップランド地方の主要都市ロヴァニエミ市内に世界で唯一のサンタクロース村があり、さらにそこから北緯68度、サンタクロース村から300km北のラップランドのコルヴァトゥントゥリの山中にサンタクロースと妖精(トントゥ)が一緒に住んでいるといわれています。
映画の構造としては、聖ニコラスの伝説をモチーフにした現代劇のなかで、フィンランドのサンタクロース伝承を語るというかたちですね。
ズワルト・ピート
3人の子どもたちの母親と真実の妖精ルースだったという設定ですが、お母さんもニコラスの仲間だったとするならズワルト・ピートだったのかもしれません。
黒人を理由につねに解釈を求めるのは好みではないですが、本作が伝承に忠実な内容であるだけに、やはりモチーフにしたのかなと考えてしまいます。
出典元:IMDb
ということは、お父さんの急な仕事ってもしかして?
不在の母=作者?
ニコラスと3人の子どもたちに共通する「不在の母」は、物語の作者を暗示していたのではないでしょうか。
一方は息子にエルフの物語とクリスマスの呼び名を残し、一方は生きた証として子どもたちをこの世に残した2人の母。
出典元:IMDb
冒頭でマーサが言ったように、世界が物語で出来ているなら、その生みの親=作者という構図はより明確になるように感じます。
語り継がれた先の「今」には存在しないという点でも、母不在の脚本の説明になるようにおもいます。
物語や伝承というものに対して、シビアな立場を持って書かれているようにも感じられて、私は好きです。
考察のまとめ
誤解を恐れずにいうと、現代の私たちにとってクリスマスは伝承であり、どこかの誰かが語った物語に過ぎないのではないでしょうか。
しかし大切なのは真実よりも、それを信じる心。
それが希望の証になるのだと教えられた気がしました。
この作品を通してクリスマスの希望が広がることを祈ります。
さいごまで読んでいただきありがとうございました。
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